○市貝町こども権利条例

平成25年12月26日

条例第24号

目次

第1章 総則(第1条~第3条)

第2章 こどもの権利と役割(第4条~第9条)

第3章 こどもの権利の保障(第10条~第12条)

第4章 こどもにやさしい町づくりの推進(第13条~第17条)

第5章 こどもの権利の擁護に関する相談と救済(第18条)

第6章 こどもの権利の保障状況の検証(第19条)

第7章 雑則(第20条)

附則

(前文)

急速な少子化の進展や家族形態が多様化する中で、こどもを取り巻く環境が大きく変化し、事件や事故に巻き込まれたり、虐待やいじめの被害に遭うなど、こどもの安心・安全に生きる権利が脅かされる状況が認められます。

こどもは、一人ひとりかけがえのない存在であり、町の宝です。

こどもは、人として尊重され、固有の権利を持っています。

こどもには、一人ひとりが自分の考えを自由に表明する権利があり、周囲の大人はそれを認め、真摯に耳を傾けなければなりません。

こどもは、自分自身の固有の権利に気付き、それを自覚していく過程において、自分とは異なる他人の存在を認め、互いの権利を守り尊重することを学びます。

大人には、こどもの権利を侵害する虐待やいじめからこどもを守り、自己肯定感や自尊感情を育み、人として自立した社会人に育てる責務があります。

市貝町は、町に住むこども一人ひとりの生きる権利、学ぶ権利、安心して生活できる権利を守り、かけがえのない存在としてこどもを育んでいく町であることを明らかにし、「市貝町こども権利条例」をここに制定します。

第1章 総則

(目的・基本理念)

第1条 この条例は、こどもの権利を広く普及させるとともに、こどもの権利を守ることを第一に考えながら、権利の保障を図ることを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによります。

(1) こども 18歳未満の人をいいます。ただし、これらの人と同等にこどもの権利を持つことがふさわしいと認められる人も含みます。

(2) 保護者 こどもの父母又は法定の保護者をいいます。

(3) こどもを養育又は教育する施設 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校その他こどもが使用する施設をいいます。

(4) 地域住民等 地域の住民、団体及び町内の事業所をいいます。

(町やこどもに関わる者の責務)

第3条 町は、こどもの権利を尊重し、こどもの権利の保障の実現に努めます。

2 保護者は、その養育するこどもの第一義的な責任者であることを認識し、権利の保障に最善を尽くします。

3 こどもを養育又は教育する施設(以下「こどもを教育する施設」といいます。)の設置者、管理者、職員は、こどもの権利の保障に努めます。

4 地域住民等は、こどもに関わる場や機会において、こどもの権利の保障に努めます。

5 町、保護者、こどもを教育する施設の関係者、地域住民等は、互いに連携しながらこどもの権利の保障に努めます。

6 町は、国や他の地方公共団体、関係機関等と連携し、町の内外を問わずこどもの権利が保障されるよう努めます。

7 町、保護者、こどもを教育する施設の関係者、地域住民等は、こどもの権利を守り、かけがえのない存在として健やかに成長できるよう、こどもを支援していきます。

第2章 こどもの権利と役割

(安心して生きる権利)

第4条 こどもは、安心で安全な生活を送るために、主として次に掲げる権利が保障されます。

(1) 命が守られ尊重されること。

(2) 暴力や差別を受けず、又は放置されないこと。

(3) 愛情と理解をもって育まれること。

(4) 健康に配慮され、適切な支援が提供されること。

(5) 安全な環境下で生活ができること。

(育つ権利)

第5条 こどもは、福祉的・教育的支援を受け、さまざまな経験を通して安心して健やかに育つことが保障されます。

(意見の表明や参加する権利)

第6条 こどもは社会に参画し、自由に意見を表明・活動することが保障されます。

(自分らしく生きる権利)

第7条 こどもは、他の人との違いや、一人ひとりの人格が尊重され、自分らしく生きることが保障されます。

(1) プライバシーに関する情報等が不当に収集され、又は利用されないこと。

(2) こどもであることを理由に、不当な扱いを受けないこと。

(支援を受ける権利)

第8条 こどもは、その置かれた状況に応じ、必要な保護や支援を受けることが保障されます。

(こどもの役割)

第9条 こどもは、発達に応じて、社会の一員であることを自覚し、自分の権利が尊重されるのと同様に他人の権利を尊重するよう努めます。

2 こどもは、命の尊さを知り自分自身を大切にするとともに、人を思いやる心を持ち、いじめをせず、互いに助け合うよう努めます。

第3章 こどもの権利の保障

(家庭におけるこどもの権利の保障)

第10条 保護者は、こどもの権利の保障について家庭が果たす役割の重要性を認識し、こどもの権利を保障します。

2 保護者は、虐待等により、こどもの権利を侵害しません。

3 町は、保護者が、安心して子育てができるよう必要な支援を行います。

4 町は、権利を侵害されたこどもの速やかな発見、適切な救済、回復、再発防止のために関係機関や関係者と連携を図ります。

(こどもを教育する施設におけるこどもの権利の保障)

第11条 こどもを教育する施設の設置者や管理者は、その職員に対して、こどもの権利を保障できるよう、必要な支援や指導を行います。

2 こどもを教育する施設の関係者は、在籍するこどもの権利が保障されるように努め、こどもの主体的な育ちや、学びを支援します。

3 こどもを教育する施設の関係者は、虐待や体罰等により、こどもの権利を侵害しません。

4 こどもを教育する施設の関係者は、関係機関や関係者と連携を図り、虐待、体罰、いじめ等の防止に努めます。

5 こどもを教育する施設の関係者は、育ちや学びに関する情報の発信に努めます。

(地域におけるこどもの権利の保障)

第12条 地域住民等は、地域において、こどもの権利が保障され、こどもが健やかに成長していくことができるよう努めます。

2 地域住民等は、地域において、こどもが安心して学び、遊び、人間関係をつくり合うことができるような居場所を確保し、これらの活動が活性化するよう、支援に努めます。

3 町は、こどもの成長に関わる地域住民等の活動を支援します。

第4章 こどもにやさしい町づくりの推進

(こどもの権利の普及)

第13条 町は、こどもの権利に関する地域住民等への理解を深め、こどもの権利の普及に努めます。

2 町は、家庭、こどもを教育する施設、町内の各組織を通じて、こどもの権利と役割について学ぶ機会を設け、こどもの権利の啓発に努めます。

3 町は、こども自身によるこどもの権利と役割に関する自主的な学習を支援します。

(意見表明や参加の促進)

第14条 町は、こどもが町づくりや町政等に意見を表明し、参加できるような場や機会を提供するよう努めます。

2 こどもを教育する施設の設置者や管理者は、こどもの意見表明や参加を進めるために、こども、保護者、職員、教職員、その他の関係者が連携し、こどもが意見を述べ合う場や機会を設けるよう努めます。

3 こどもを教育する施設の関係者は、こどもの意見表明や参加を進めるために、こどもの自主的で主体的な活動を支援します。

(こどもの居場所づくりの推進)

第15条 町は、こどもが自由に活動し、安心して人間関係をつくり合うための居場所の確保と充実に努めます。

2 町は、こどもたちの居場所を提供をするために、地域住民等及び関係団体との連携を図ります。

(子育て支援の推進)

第16条 町は、こどもの権利の保障に努め、福祉、保健、教育その他の分野において、総合的かつ計画的に子育てに関する施策を推進します。

(虐待、いじめ防止の促進)

第17条 町、保護者、こどもを教育する施設の関係者及び地域住民等は、虐待、いじめが、こどもの人権の侵害にとどまらず、かけがえのない命を奪うことにもつながることを深く認識し、予防や再発防止のために全力を尽くします。

第5章 こどもの権利の擁護に関する相談と救済

(こどもの権利擁護委員会の設置)

第18条 町は、こどもの権利の擁護に関し、迅速かつ適切な救済を行い、回復を支援するために、市貝町こどもの権利擁護委員会(以下、「擁護委員会」といいます。)を設置します。

2 こども、保護者、こどもを教育する施設の関係者及び地域住民等は、擁護委員会に相談と救済を求めることができます。

3 擁護委員会は、5人以内とし、こどもの権利に関して、理解や見識のある者のうちから町長が委嘱します。

4 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とします。ただし、再任を妨げません。

5 町長は、擁護委員が職務を行うことができないと認める場合、職務上の義務違反その他委員としてふさわしくない行いがあると認める場合には、解任することができます。

第6章 こどもの権利の保障状況の検証

(こどもの権利委員会の設置)

第19条 こどもの権利に関する施策の充実を図るとともに、こどもの権利の保障の状況を検証するために、市貝町こどもの権利委員会(以下、「権利委員会」といいます。)を設置します。

2 町長は、権利委員会に対して諮問し、答申を受けることにより、この条例による施策の実施状況について毎年度検証を行います。

3 権利委員会は、町長の諮問に応じ、又は必要があるときは自らの判断で、こどもに関する施策におけるこどもの権利の保障について、調査し、審議します。

4 権利委員会は10人以内とし、人権、福祉、教育など、こどもの権利に関わる分野において見識のある者や地域住民等のうちから町長が委嘱します。

5 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とします。ただし、再任を妨げません。

第7章 雑則

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。

(市貝町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一改正)

2 市貝町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和47年条例第7号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

市貝町こども権利条例

平成25年12月26日 条例第24号

(平成26年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第2節 児童・母子福祉
沿革情報
平成25年12月26日 条例第24号