○市貝町サシバの里保全創造条例

令和6年3月12日

条例第14号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第8条)

第2章 希少野生動植物及び特別希少野生動植物の保護

第1節 希少野生動植物及び特別希少野生動植物の指定(第9条~第10条)

第2節 個体の取扱いに関する規制(第11条~第17条)

第3節 指定外来生物等による希少野生動植物等の被害の防止(第18条~第20条)

第4節 希少野生動植物等の保護推進体制の整備等(第21条~第23条)

第3章 文化・歴史的遺産の保全(第24条)

第4章 保全地域の指定等(第25条~第28条)

第5章 開発行為の規制等(第29条~第36条)

第6章 サシバが生息する里地里山を未来に承継するための取組の推進(第37条~第42条)

第7章 雑則(第43条~第46条)

第8章 罰則(第47条~第49条)

附則

私たちの住む市貝町の南部地区には、平坦な水田地帯や段丘面が広がり、中部地区から北部地区には、八溝山系の一部を形成する丘陵地が広がっています。そして、そこに広がる多数の谷津田を始めとする里地里山で、古くから農の営みや薪炭材の生産などが行われ、市貝町独自の美しい景観、豊かな生態系、地域文化等を育んできました。

市貝町には、タカの仲間であるサシバが春から秋にかけて子育てのために遠く南の国々から渡来してきています。サシバが生息しているということは、里地里山環境の状態が良好であることを意味し、多様性のある生態系が保全されていることを示す一つの証になるものと考えられています。そのようなサシバに選ばれた里地里山環境は、私たち市貝町の宝であり、SDGsの理念に基づき、将来の世代に引き継いでいかなければなりません。

しかし、近年の産業構造や生活形態の変化等により、耕作されなくなった農地や利用されなくなった森林が増加しており、さらに再生可能エネルギー施設の設置を始めとする開発等により、里地里山の環境が破壊され、生物多様性の保全や良好な景観形成などの本来の機能は失われつつあります。

この条例は、こうした市貝町の里地里山を保全することを町政の基調として確立し、将来にわたって町民と里地里山が調和した生活環境を創造することを決意し、制定するものです。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市貝町の里地里山の重要な構成要素である希少野生動植物及び文化・歴史的遺産等を含めた里地里山を保全し、資源の循環と持続可能な利用の促進を図るため、町、町民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、希少野生動植物の指定、里地里山保全地域の区域内における保全その他の措置を総合的に講ずることにより里地里山と調和する美しく住みよい郷土づくりに寄与し、さらに将来の町民にもこれを継承することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 里地里山 現に管理され、若しくは利用され、又はかつてされていた谷津田を始めとする農地、水路、ため池、二次林その他これらに類する土地又は多くの野生動植物が生息し、又は生育する土地若しくは文化・歴史的遺産を包含する土地などで構成される地域をいう。

(2) 谷津田 台地や丘陵地に樹状に刻まれた谷の低地部に所在する水田をいう。

(3) 土地所有者等 里地里山の土地の所有者又は占有者若しくは当該土地を使用収益する権原を有する者をいう。

(4) 希少野生動植物 町内に生息し、又は生育する野生動植物の種のうち、規則で定める要件に該当するもので、第9条第1項の規定により指定したものをいう。

(5) 特別希少野生動植物 希少野生動植物のうち、特に保護を図る必要があると認められるもので、第10条第1項の規定により指定したものをいう。

(6) 文化・歴史的遺産 生活環境が、里地里山と共生し、自然環境の成り立ちとも深くかかわりをもっていた先人たちが残した生活の痕跡、遺物、遺構、遺跡その他の有形の所産をいう。

(町の責務)

第3条 町は、前文に掲げた基本理念にのっとり、優れた里地里山づくりに必要な施策を策定し、これを実施しなければならない。

2 町は、里地里山を保全するため、荒廃農地の発生防止及び解消並びに森林整備の推進に必要な施策を講じなければならない。

3 町は、里地里山において開発行為を行う場合には、里地里山を保全する上で深刻な影響を及ぼさないよう十分に配慮しなければならない。

(町民の責務)

第4条 町民は、前文に掲げられた基本理念にのっとり、里地里山が農林業の営み及び生活の場として利用され、そのことによって維持されていることに対する理解を深め、日常生活において希少野生動植物及び文化・歴史的遺産の保護その他の里地里山の保全に努めるとともに、国、県及び町が実施する里地里山の保全に関する施策及びこの条例に定める手続の実施に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、前文に掲げられた基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、里地里山を損なうこととならないよう自然の改変を最小限度にとどめ、希少野生動植物及び文化・歴史的遺産の保護その他の里地里山を保全するために必要な措置を講じるとともに、国、県及び町が実施する里地里山の保全に関する施策に協力し、この条例に定める手続を遵守しなければならない。

(土地所有者等の責務)

第6条 土地所有者等は、その土地の利用に当たっては、希少野生動植物及び文化・歴史的遺産の保護等に留意しなければならない。

2 土地所有者等は、里地里山の有する水源かん養、生物多様性の保全、良好な景観形成等の公益的機能の重要性を認識し、里地里山の適正な保全と活用について、町民、民間団体(第41条第1項に規定する里地里山保全活動団体を含む。以下同じ。)と連携し、及び協力するとともに、国、県及び町が実施する里地里山の保全に関する施策に協力し、この条例に定める手続を遵守しなければならない。

(財産権の尊重等)

第7条 町は、この条例の適用に当たって、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の向上に配慮するとともに町土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。

(調査研究)

第8条 町長は、町内の里地里山を保全するため、その変化について継続的に調査研究を行わなければならない。

第2章 希少野生動植物及び特別希少野生動植物の保護

第1節 希少野生動植物及び特別希少野生動植物の指定

(希少野生動植物の指定)

第9条 町長は、規則で定めるところにより、希少野生動植物を指定することができる。

2 町長は、希少野生動植物の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により、前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、規則で定めるところにより、その指定を解除しなければならない。

3 町長は、第1項の規定による指定をしようとするとき又は前項の規定による指定解除をしようとするときは、市貝町環境基本条例に定める市貝町環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

(特別希少野生動植物の指定)

第10条 町長は、規則で定めるところにより、特別希少野生動植物を指定することができる。

2 町長は、特別希少野生動植物の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により、前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、規則で定めるところにより、その指定を解除しなければならない。

3 町長は、第1項の規定による指定をしようとするとき又は前項の規定による指定解除をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

第2節 個体の取扱いに関する規制

(個体の所有者等の義務)

第11条 希少野生動植物又は特別希少野生動植物(以下「希少野生動植物等」という。)の個体の所有者又は占有者は、希少野生動植物等を保護することの重要性を認識し、その個体を適切に取り扱わなければならない。

(個体の所有者等に対する助言又は指導)

第12条 町長は、希少野生動植物等の保護のため必要があると認めるときは、希少野生動植物等の個体の所有者又は占有者に対し、その個体の取扱いに関し必要な助言又は指導をすることができる。

(希少野生動植物の捕獲等の届出)

第13条 希少野生動植物の個体(飼育し、及び栽培している個体並びに繁殖させた個体を除く。以下同じ。)の捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしようとする者は、その個体の生死に関わらず、あらかじめ、規則で定めるところにより、町長に届け出なければならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りではない。

(1) 人の生命又は身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合

(2) 生計の維持のため特に必要があり、かつ、希少野生動植物の保護に支障を及ぼすおそれがないとして規則で定める場合

2 町長は、前項の規定による届出(以下この条において「届出」という。)があった場合において、当該届出に係る捕獲等が希少野生動植物の保護に支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、当該届出をした者に対して、当該捕獲等をすることを禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

3 前項の規定による命令は、届出があった日から起算して30日(30日を経過する日までの間に同項の規定による命令をすることができない合理的な理由があるときは、届出があった日から起算して60日を超えない範囲内で町長が定める期間)を経過した後又は第5項ただし書の規定による通知をした後は、これをすることができない。

4 町長は、前項の規定により期間を定めたときは、これに係る届出をした者に対し、遅滞なく、その旨及びその理由を通知しなければならない。

5 届出をした者は、届出をした日から起算して30日(第3項の規定により町長が期間を定めたときは、その期間)を経過した後でなければ、届出に係る捕獲等に着手してはならない。ただし、町長が希少野生動植物の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めてその者に通知したときは、この限りでない。

(特別希少野生動植物の捕獲等の禁止)

第14条 特別希少野生動植物の個体は、その生死に関わらず、捕獲等をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りではない。

(1) 次条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合

(2) 人の生命又は身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合

(特別希少野生動植物の捕獲等の許可)

第15条 学術研究、生息状況の調査、繁殖、教育の目的で特別希少野生動植物の個体の捕獲等をしようとする者は、町長の許可を受けなければならない。

2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、町長に許可の申請をしなくてはならない。

3 町長は、前項の申請に係る捕獲等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第1項の許可をしてはならない。

(1) 捕獲等の目的が第1項に規定する目的に適合しないこと。

(2) 捕獲等によって特別希少野生動植物の保護に支障を及ぼすおそれがあること。

(3) 捕獲等をする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。

4 町長は、特別希少野生動植物の保護のため必要があると認められるときは、その必要な限度において、第1項の許可に条件を付することができる。

5 町長は、第1項の規定による許可をしようとするとき又は前項の規定による許可に条件を付すときは、審議会の意見を聴かなければならない。

6 町長は、第1項の許可をしたときは、規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。

7 第1項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の規則で定める方法により適切に取り扱わなければならない。

(捕獲等許可者に対する措置命令)

第16条 町長は、前条第1項の許可を受けた者が同条第4項の規定により許可に付された条件に違反し、又は同条第7項の規定に違反した場合において、特別希少野生動植物の保護のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

2 町長は、前条第1項の許可を受けた者が、この条例又はこの条例に基づく規則の規定に違反した場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、その許可を取り消すことができる。

(1) 特別希少野生動植物の保護のため必要があると認めるとき。

(2) 偽りその他不正の手段により同項の許可を受けたとき。

3 前項の規定において許可を取り消された者は、許可の取消しを受けた日から起算して5年を経過する日まで、前条第2項の許可の申請を行うことはできない。

(報告徴収及び立入検査)

第17条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、第13条第1項の規定による届出をした者及び第15条第1項の許可を受けた者に対し、希少野生動植物等の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又は職員に、希少野生動植物等の個体の捕獲等に係る場所若しくは施設に立ち入り、希少野生動植物等の個体、飼養栽培施設、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第3節 指定外来生物等による希少野生動植物等の被害の防止

(指定外来生物の指定)

第18条 町長は、規則で定めるところにより、希少野生動植物等に深刻な影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号)第2条第1項に規定する特定外来生物(以下「特定外来生物」という。)を除く。)を指定外来生物として指定することができる。

2 町長は、指定外来生物による生態系等に係る被害の状況の変化その他の事情の変化により、前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、規則で定めるところにより、その指定を解除しなければならない。

3 町長は、第1項の規定による指定をしようとするとき又は前項の規定による指定解除をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

(指定外来生物等に関する調査等)

第19条 町長は、指定外来生物又は特定外来生物(次条において「指定外来生物等」という。)で、希少野生動植物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるものについて、その個体の生息又は生育の状況、その個体の生息地又は生育地の状況、希少野生動植物等の個体の生息又は生育に及ぼす支障の程度その他必要な事項について調査をし、希少野生動植物等の保護に関し必要な対策を講ずるものとする。

(指定外来生物等に関する情報の提供)

第20条 町は、指定外来生物等が希少野生動植物等の個体の生息又は生育に及ぼす影響について、町民、事業者及び土地所有者等の理解が深まるよう、その情報の提供を行うものとする。

第4節 希少野生動植物等の保護推進体制の整備等

(希少野生動植物の提案)

第21条 町民、事業者(町内に主たる事務所の所在地を有する者に限る。)又は民間団体は、規則で定めるところにより、理由を付して、特定の野生動植物を希少野生動植物として指定するよう、町長に提案することができる。

2 町長は、前項の規定による提案があった場合において、当該提案に係る野生動植物を希少野生動植物として定めたときはその旨を、その必要がないと判断したときはその旨及び理由を、速やかに、当該提案した者に通知するものとする。

(調査等の推進)

第22条 町長は、次に掲げる事項について推進し、その結果を定期的にこの条例に基づく希少野生動植物等の指定、その解除その他この条例の適正な運用に活用するものとする。

(1) 希少野生動植物等の個体の生息又は生育の状況の調査及び研究

(2) 希少野生動植物等の個体の生息地又は生育地の状況の調査及び研究

(3) 前2号に掲げる事項のほか、希少野生動植物等に関して必要な調査及び研究

(調査結果の報告)

第23条 前条第1項各号に準ずる活動を行う町民又は民間団体は、任意で、その調査又は研究の結果を町長に報告することができる。

第3章 文化・歴史的遺産の保全

(文化・歴史的遺産の調査)

第24条 町長は、文化・歴史的遺産を保全するため、文化・歴史的遺産の分布状況の把握その他の文化・歴史的遺産の保全に必要な調査の実施に努めるものとする。

第4章 保全地域の指定等

(保全計画)

第25条 町長は、規則で定めるところにより、重要里地里山保全地域及び特別重要里地里山保全地域に関する保全計画(以下「保全計画」という。)を定めなければならない。

2 保全計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 保全すべき里地里山の特質その他当該地域における里地里山の保全に関する基本的な事項

(2) 当該地域における里地里山の特質に即して、当該地域の指定に関する事項

(3) 当該地域における里地里山の保全のための規制に関する事項その他里地里山の保全のために必要な事項

3 町長は、里地里山を保全するために必要が生じた場合には、規則で定めるところにより保全計画を変更することができる。

4 町長は、第1項の規定により保全計画を定めようとするとき又は前項の規定により保全計画の変更をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

(重要里地里山保全地域の指定等)

第26条 町長は、保全計画に基づいて、規則で定めるところにより、重要里地里山保全地域(以下「重要保全地域」という。)を指定することができる。

2 町長は、重要保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該区域内の土地所有者等の同意を得なければならない。

3 町長は、重要保全地域の区域内の里地里山の現況等に変化があったため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、重要保全地域の指定の解除及びその区域の変更をすることができる。

4 町長は、第1項の規定により重要保全地域を指定しようとするとき又は前項の規定により重要保全地域の指定の解除若しくはその区域の変更をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

(特別重要里地里山保全地域の指定等)

第27条 町長は、保全計画に基づいて、規則で定めるところにより、重要保全地域の区域内に、特別重要里地里山保全地域(以下「特別保全地域」という。)を指定することができる。

2 町長は、前項の規定により特別保全地域として指定しようとする土地が民有地の場合においては、あらかじめ、当該土地所有者等との間で契約を締結し、町が当該土地に対して所有権、占有権その他の権利を取得しなければならない。

3 町長は、第1項の規定により特別保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、当該区域内の土地を、国が所有する場合にあっては、当該土地を所管する行政機関の長の、地方公共団体が所有する場合にあっては、当該地方公共団体の同意を得なければならない。

4 町長は、特別保全地域の区域内の里地里山の現況等に変化があったため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、特別保全地域の指定の解除及びその区域の変更をすることができる。

5 町長は、第1項の規定により特別保全地域を指定しようとするとき又は前項の規定により特別保全地域の指定の解除若しくはその区域の変更をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

(里地里山管理協定)

第28条 町長は、希少野生動植物等が生息する自然生態系を保全するため、重要保全地域の土地所有者等と里地里山管理協定を締結しなければならない。

2 町長は、前項の規定に基づき協定を締結した者に対して、里地里山保全奨励金を支払うものとする。

第5章 開発行為の規制等

(重要保全地域の保全)

第29条 重要保全地域の区域内(第27条第1項に規定する特別保全地域の区域を除く。)において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、町長の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りではない。

(1) その規模が規則で定める基準を超える建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)

(2) その規模が規則で定める基準を超える宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し、土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。

(5) 河川・湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼすこと。

(6) 前各号のほか、重要保全地域における里地里山の保全に影響を及ぼすおそれがある行為として規則で定めるもの

2 前項の許可には、その重要保全地域における優れた里地里山の保全のために必要な限度において、条件を付することができる。

3 町長は、第1項各号に掲げる行為に該当し、規則で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

4 町長は、第1項の規定による許可をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

5 重要保全地域の区域内において、非常災害のために必要な応急措置として第1項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して14日以内に、規則で定めるところにより、町長にその旨を届け出なければならない。

6 第1項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなった時において、既に同項各号に掲げる行為に着手している者は、その規制されることとなった日から起算して3月を経過する日までの間に町長に規則で定める事項を届け出たときは、同項の規定にかかわらず、引き続きその行為をすることができる。

7 前項に規定する者が同項の期間内にその行為について町長に届け出たときは、第1項の許可を受けたものとみなす。

8 次の各号に掲げる行為については、第1項及び第5項の規定は、適用しない。

(1) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、重要保全地域における里地里山の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして、規則で定めるもの

(2) 重要保全地域における里地里山の保全のための行為として、規則で定めるもの

(特別保全地域の保全)

第30条 特別保全地域の区域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

(1) その規模が規則で定める基準を超える建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)

(2) その規模が規則で定める基準を超える宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し、土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。

(5) 河川・湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼすこと。

(6) 前各号のほか、特別保全地域における里地里山の保全に影響を及ぼすおそれがある行為として規則で定めるもの

2 第1項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなった時において、既に同項各号に掲げる行為に着手している者は、その規制されることとなった日から起算して3月を経過する日までの間に町長に規則で定める事項を届け出たときは、同項の規定にかかわらず、引き続きその行為をすることができる。

3 次の各号に掲げる行為については、第1項及び第2項の規定は、適用しない。

(1) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、特別保全地域における里地里山の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして、規則で定めるもの

(2) 特別保全地域における里地里山の保全のための行為として、規則で定めるもの

(3) 防災のための行為として規則で定めるもの

(4) 非常災害のために必要な応急措置として第1項各号に掲げるもの

(事前調査)

第31条 第29条第1項各号に掲げる行為(以下「開発行為」という。)を行おうとする者で、規則で定める規模を超える開発行為を行おうとする者は、第29条第1項の規定による許可申請を実施する前に、規則で定めるところにより、当該開発行為が里地里山に与える影響について事前調査をしなければならない。ただし、町長が里地里山の保全に支障を及ぼすおそれがないと認める場合には、この限りではない。

2 町長は、前項の規定による事前調査(以下この条において「事前調査」という。)の結果に関して現地調査を行うときは、研究会を同行させなければならない。

3 町長は、事前調査及び前項の規定による現地調査(次項において「現地調査」という。)の結果、里地里山への影響の程度が小さく、里地里山を保全することに支障がないと認めるときは、開発行為を行おうとする者に対し、開発行為の許可申請を行うことが可能である旨及びその理由並びに必要となる保全対策の内容を通知しなければならない。

4 町長は、事前調査及び現地調査の結果により、里地里山への影響の程度が著しいものとなるおそれがあるとして規則で定める基準を満たすと認めるときは、事業者に対し開発行為の許可申請を行うことができない旨及びその理由を通知しなければならない。

5 町長は、第3項又は前項の通知を行う場合には、審議会の意見を聴かなければならない。

(里地里山保全協定)

第32条 町長は、里地里山の保全のために必要があると認めるときは、第29条第1項の許可を受けた者と、希少野生動植物等の保全、文化・歴史的遺産の保護その他里地里山の保全のために必要な事項を内容とする里地里山保全協定を締結するよう措置しなければならない。

2 前項に規定する里地里山保全協定は、開発行為に着手する前に締結しなければならない。

(土地所有者等に対する助言又は指導)

第33条 町長は、里地里山の保全のため必要があると認めるときは、土地所有者等又は事業者に対して、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。

(措置命令等)

第34条 町長は、里地里山の保全のため必要があると認めるときは、第29条第1項の許可を受けた者に対して、その行為の実施方法について指示をすることができる。

2 町長は、第29条第1項の規定に違反した者、同条第2項の規定により付された条件に違反した者がその違反行為によって里地里山の保全に支障を及ぼした場合において、里地里山の保全のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、その違反行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて原状回復を命じ、その他里地里山の保全のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

3 町長は、第29条第1項の許可を受けた者がこの条例又はこの条例に基づく規則の規定に違反した場合において、里地里山の保全のため必要があると認めるときは、その許可を取り消すことができる。

4 前項の規定において許可を取り消された者は、許可の取消しを受けた日から起算して5年を経過する日まで、第29条第1項の許可の申請を行うことはできない。

(報告徴収及び立入検査等)

第35条 町長は、重要保全地域の保全のために必要があると認めるときは、第29条第1項の規定による許可を受けた者に対して、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

2 町長は、第29条第1項又は前条の規定による処分をするために必要があると認めるときは、その必要な限度において、職員に、重要保全地域の区域内の土地又は建物内に立ち入り、開発行為の実施状況を検査させ、若しくはこれらの行為の里地里山に及ぼす影響を調査させることができる。

3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4 第1項及び第2項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(実地調査)

第36条 町長は、重要保全地域及び特別保全地域の指定又は保全計画の策定をするための実地調査に必要な限度において、職員若しくは審議会又は研究会の委員(以下この条において「職員等」という。)に、他人の土地に立ち入らせることができる。

2 町長は、職員等に前項の規定による立入りをさせようとするときは、あらかじめ、土地所有者等にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

3 第1項の規定による立入りをする職員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4 土地所有者等は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。

第6章 サシバが生息する里地里山を未来に承継するための取組の推進

(教育及び学習の機会の充実)

第37条 町長は、里地里山の保全について、町民、土地所有者等及び事業者の理解が深まるよう、国、他の地方公共団体、民間団体及び関係機関と連携し、里地里山に関する教育及び学習の機会の充実、広報活動その他の必要な措置を講ずるものとする。

(人材の育成)

第38条 町長は、里地里山の保全及び利用を促進するために、国、他の地方公共団体、民間団体及び関係機関と連携し、専門的な知識を有する人材を育成するための必要な措置を講ずるものとする。

(持続可能な農林業と循環型の暮らしの推進)

第39条 町長は、里地里山の農地を保全し、資源の循環と持続可能な利用の促進を図るため、有機農法等を用いた環境保全型農業を推進するものとする。

2 町長は、里地里山の森林を保全し、資源の循環と持続可能な利用の促進を図るため、林産物(木炭等の特用林産物含む)の生産、主伐や間伐、病害虫の防除・駆除などの保育管理を推進するものとする。

3 町、町民及び事業者は、持続可能な農林業によって生産された農産物・林産物を積極的に購入・利用するなどして、里地里山の恵みを生かした循環型の暮らしの推進に努めるものとする。

4 町長は、前3項の目的を達成するため、理解の促進、技術的・財政的支援を行うものとする。

(エコツーリズム及びグリーンツーリズムの推進)

第40条 町長は、里地里山を活用した持続可能なエコツーリズム(エコツーリズム推進法(平成19年法律第105号)第2条第2項に規定するエコツーリズムをいう。)及びグリーンツーリズム(農山村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動をいう。)を推進するため、国、他の地方公共団体、民間団体及び関係機関と連携し、必要な措置を講じなければならない。

(里地里山保全活動団体の認定)

第41条 町長は、町内において里地里山の保全活動を行う民間団体であって、規則で定めるものを市貝町里地里山保全活動団体(この条及び次条において「保全団体」という。)として、認定することができる。

2 前項の認定を受けようとする保全団体は、規則で定めるところにより町長に認定の申請をしなければならない。

3 町長は、第1項の認定をしたときは、速やかに、当該認定に係る申請をした保全団体に通知するものとする。

4 町長は、保全団体に対して、必要な助言、指導又は情報の提供を行い、保全団体が行う里地里山の保全のために要する経費について、予算の範囲内において、財政的な支援を行うものとする。

5 保全団体は、第1項の認定後、規則で定める事項の変更が生じたときは、速やかに町長にその旨を届け出なければならない。

6 保全団体は、第1項の認定を受けた保全活動を止めようとするときは、規則で定めるところにより町長にその旨を届け出なければならない。

7 町長は、保全団体が、この条例若しくは規則に違反したときその他保全団体にふさわしくない行為をしたとき又は前項の規定による届出をしたときは、その認定を取り消すことができる。

(報告又は資料の提出)

第42条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、保全団体に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。

第7章 雑則

(監視員の設置)

第43条 町長は、里地里山の保全のため必要な監視活動を行うことを目的として、規則で定めるところにより、市貝町里地里山保全監視員を置くことができる。

(研究会の設置)

第44条 町長は、第22条各号の規定に基づく調査その他文化・歴史的遺産の調査等里地里山の保全に関する施策を円滑に推進することを目的として、市貝町里地里山調査研究会(以下「研究会」という。)を置く。

2 研究会に所属する委員が行う研究会の所掌事項に基づく行為については、第13条第1項第14条及び第15条第1項の規定は、適用しない。

3 研究会の組織、委員の任期、運営その他必要な事項は、町長が別に定める。

(違反者の公表)

第45条 町長は、第34条第2項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは、その違反の事実及び違反者の氏名を公表することができる。この場合において、町長は、あらかじめ、当該行為をした者に対し、その理由を書面により通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第46条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第8章 罰則

第47条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万以下の罰金に処する。

(1) 第14条の規定に違反した者

(2) 偽りその他の不正の手段により第15条第1項又は第29条第1項の許可を受けた者

(3) 第15条第4項の規定により付した条件に違反した者

(両罰規定)

第48条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。

2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第49条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。

(1) 第13条第1項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をして規制されている行為を行った者

(2) 第13条第2項第16条第1項又は第34条第2項の規定による命令に違反した者

(3) 第13条第5項の規定に違反し、届出に係る捕獲等に着手した者

(4) 第17条第1項又は第35条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

(5) 第17条第1項又は第35条第2項の規定による、立入検査若しくは立入調査又は第36条第1項による実地調査を拒み、妨げ又は忌避した者

(6) 第31条第1項の規定に違反し、事前調査を行わず、開発行為を行った者

(施行期日)

1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。ただし、第13条第14条第15条第16条第17条第29条第30条第31条第32条第34条第35条第45条及び第8章の規定は、令和6年10月1日から施行する。

(条例の見直し)

2 町長は、この条例の施行後5年を経過した場合において、施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

市貝町サシバの里保全創造条例

令和6年3月12日 条例第14号

(令和6年10月1日施行)

体系情報
第9編 産業経済/第2章 農林・畜産/第1節
沿革情報
令和6年3月12日 条例第14号
令和6年12月3日 条例第21号